暮らしの中のトーン&マナー

トーン&マナーとは、ブランディングの基本的な要素として用いられる言葉で、広告などのメディア制作においてデザインに一貫性を持たせることを指します。このトーン&マナー(トンマナ)を守って作られた広告はそのブランドイメージを形成します。グラフィックデザインを生業とする僕にとってはこのトーン&マナーを意識し具体化することはとても重要なことです。仕事の上でもこのトーン&マナーの間違いを指摘されデザインの修正なども行うことも多くあります。

我が家では、このトーン&マナーを暮らしの中に意識するようにしています。我が家のトーン&マナーも商品やサービスのブランディングの手法に習って次のように定義づけをしました。

1.我が家の二人暮らしの価値→お気に入りの部屋でお気に入りの物と、美味しい食事と楽しい会話がある暮らしであること。

2.二人暮らしの価値を表現するキーワード→ •上質・上品 •確かさ •普遍性 •シンプル •安全・安心 ・優しさ ・楽しさ ・会話  

3.キーワードにふさわしい、暮らし方やアイテム、食材選びをする。

我が家の二人暮らしの価値観を「我が家らしさ」とすることで、日々の暮らしがより魅力的になると考えています。

狭くてもできるお気に入りの部屋(環境)づくり

統一感のある配色(キーカラー)とシンプルなデザインをセレクトする

二人で多くの時間を過ごすお気に入りのリビングルームづくりとして部屋を構成する家具やアイテムのキーカラーをブラウン、黒、白(ベージュ)としています。茶色いフローリングと白いクロスの部屋に自然に馴染む色で落ち着きのあるベーシックな色の選択です。ダイニングテーブル、テーブルの下に納めることのできるベンチチェア。二人がけのソファとソファテーブル、テレビ、ちょっとした小物を置くシェルフ。大きな家具はこれだけですが、なるべくブランドを統一して、キーカラーで構成されたものを選ぶようにしています。狭いリビングルームなので、家具や雑貨などはなるべく少なくすることにも心がけています。大きな家具については多少高価なものでも品質が良いもの、余計な装飾のないシンプルで普遍性のあるデザインのものにしています。頻繁に買い替えるものでもないので、納得のいく商品を慎重に選ぶことが大切だと思います。テレビなどの家電についてもシンプルなデザインものを選びます。家電などのデザインは流行によって、仰々しいサイバーチックな流線型のフォルムや、色とりどりの機能ボタンがついていたりと現代的なアプローチのデザインのものがあります。最新型家電として一定の期間は良いかもしれませんが、年数が経つと特徴的なデザインに違和感を感じることがあります。最先端はすぐに古さを感じさせます。なので多少物足りなさを感じるぐらいのシンプルなデザインの家電を選ぶようにしています。雑貨についても、同じ基準で選ぶようにしています。ちょっとした小物入れなどは「無印良品」が重宝します。雑貨にまで高価なものを求めると経済的にも大変ですので、比較的安価でシンプルなデザインの「無印良品」は我が家でも大活躍のブランドです。

 

 

無印良品の雑貨を活用する

お気に入りの家具や雑貨を揃え、掃除を心がけて、いつもすっきりとしたお気にりのリビングルームをキープしようとしても、やはり毎日暮らしていく上でどうしても生活感のあるものが部屋に溢れがちです。宅配ピザのポスティングメニュー、請求書、DMなどの郵便物もその一つです。いっそのこと全て捨ててしましたい気持ちになりますが、中には大切な書類も含まれています。後で確認しようと思い、テーブルの片隅やカウンターに置いたまま、知らず知らずに溜まっていきます。我が家のトーン&マナーを全く無視して送りつけられるこの広告物と書類たちが、せっかくコーディネイトしたスペースを占拠し乱していきます。ここでおすすめなのが無印良品の収納雑貨です。例えばこの白い引き出し式のボックスです.緊急性を要する重要な書類など以外はひとまずこのボックスに入れておきます。ボックスに入れていく段階ですぐ捨てても良いものは捨てますが、後で落ち着いて目を通したいDM、宅配メニューなどはひとまずここへ入れておきます。時間のある休日などに中身を再度確認して目を通し、やはり必要のないものは処分します。家に届く書類の一時退避場所とすることで、バラバラと部屋のあちこちに郵便物が散らかることなく、どこに置いたのかわからなくなる事もありません。白いシンプルなデザインのボックスでA4サイズがゆったりと入る便利なサイズ。部屋のトーン&マナーを崩さない小物雑貨として重宝します。同じく無印良品の段ボール箱も活用しています。コロナ禍で必須となった除菌シートなどのストックは、この段ボール箱にストックしています。除菌シートは、そこそこ頻繁に取り替えるので10個ほどのストックを箱の中に入れ、テーブル脇のシェルフに置いています。シックな黒でしっかりとした作りの段ボール箱なので、こちらもおしゃれな小物雑貨としてシェルフに置いても、おしゃれなオブジェのような佇まいで部屋に馴染みます。テイッシュパーパーなども同様に、日用生活雑貨においては機能性や必要性で購入するので、パッケージデザインのシンプルさや統一感という視点での選択には無理があります。生活感のある日用品は無印良品の収納雑貨でカモフラージュすることで部屋のトーン&マナーを崩すことなく取り入れることができます。
お気に入りのデザイン家具と無印良品の雑貨をうまく組み合わせることで、トーン&マナーを意識した部屋づくりを心がけています。

 

食においてのトーン&マナー

良いものを、楽しく食す

我が家の二人暮らしの価値として大切な食についてもトーン&マナーを意識しています。もっぱら奥さんに頼りっぱなしの食生活ですが、食材の買い求め方として、決まったお店でその日の食卓のための食材を買い求めるようにしています。肉・魚・野菜から調味料まで、全てが揃っている大型スーパーでの買い物は一つの店舗で必要な食材がずべて買い揃えることができ大変便利ですが、我が家ではなるべくそれぞれの食材をそれぞれ決まったお店で購入することとしています。奥さんがクチコミなどの情報をもとにあちこちと買い物に出かけてその日の夕食で試食を重ね、その繰り返しで決めていったお店です。仕入れが違うのか処理が違うのか詳しい理由はわかりませんが同じ食材でも明らかな違いがあります。「我が家の食材仕入れ先 お店リスト」は大切な暮らしのノウハウの一つとなっています。食においてのトーン&マナーとしては、安心・安全な無添加のもの、地産地消のものを選んで購入しています。安いからという理由だけで、肉や魚を買うことはしません。もちろん価格は重要なポイントですが、国産のもの、新鮮なもの、季節のものという視点を持ち、その上でリーズナブルなセレクトを心がけています。色々なお店の食材を食べ比べてみて、この「食材仕入れ先 お店リスト」を決めることをお勧めします。いつもお決まりのお店に通い、購入することで、取り置きやおまけ、おすすめを教えてくれたりと嬉しい特典があるかもしれません。毎日の買い物にあちこちと移動するのは大変ですが、そうして買い揃えた食材の料理はやはり美味しく、楽しい食卓となります。またできるだけその日(または翌日)の夕食のための食材だけを買うように心がけています。浅はかな計画で余分に買いすぎたり、目的もなく「安いから」という理由だけで多く買ってしまうと、後々使い道に困ってしまいます。そんな冷蔵庫の残り物で出来上がる料理より、その日食べたい料理を美味しく楽しく食べることを心がけています。
奥さんの趣味である器も、その日その日でセレクトしています。共働きの我が家では夕食を大切な時間として位置づけます。その日の夕食のメニューや食材について会話も弾み、食に対して新たな発見や発想を二人で共有できます。弾む会話の中では、お互いの仕事についてもその日あった嫌なことや楽しかったことなどをアドバイスしあえる豊かな時間となります。高価ではなくとも質の良い食材、食卓の時間を摂るという事は我が家のトーン&マナー、二人の共通した価値観です。

 

 

 

表面的なことだけではない、暮らし方の基準

•上質・上品 •確かさ •普遍性 •シンプル •安全・安心 ・優しさ ・楽しさ ・会話
部屋やアイテムや食事といった表面上のことだけでなく、トーン&マナーのキーワードで人間関係を見つめる。二人暮らしにおいての夫婦二人の向き合い方や考え方。友人との関係性などにおいてもトーン&マナーを持つことは大切なことだと思います。もちろん、確立されたコンセプトではないので、現在のトーン&マナーを意識しながら、年を重ねて変化する暮らし方や考えた方や環境をブラッシュアップしていきます。「我が家らしく暮らす」という答え探しのような日々を送ることで、大切にすべき感性を忘れず、お互いの成長にも繋がっていくことと思います。もちろん、我が家はブランドでもなんでもないので、暮らしの中にトーン&マナーを意識しても、そこから外れるものは除外するということではありません。「我が家らしくないもの」が暮らしの中にあることも楽しいアクセントとなります。夫婦二人、お互いがキャラクター付きのマグカップも永年愛用しています。カップ麺が夕食の時もあります。要するに「我が家らしさ」のトーン&マナーを持っていれば、「らしくないもの」の楽しさにも発見があり、持つべき価値感を夫婦二人で再認識できる。暮らしを豊かにブラッシュアップしていく基準となるように思います。