漆黒の器
我が家の器ラインナップの中でお気に入り作家さんの一人吉田直嗣さんの作品をご紹介します。夫婦二人とも、暮らしの中の家具やアイテムは黒と白を基調としたアイテムを好みとしています。食卓の器においても、盛りつけた料理が美味しそうに映える黒の器を探していました。結婚当初、器に興味を持ち始めた最初の頃に、奥さんが吉田直嗣さんの器を本で知り購入してみました。最初に手に入れたのは丸い平皿2枚、本で見た美しい器、イメージ通りの器が届き、使ってみたところ、たちまちファンになったようです。そこから、オーバル、丸鉢、カップと少しづつ集めていきました。どの作品もお気に入りで、テーブルに並べて、漆黒のラインナップを見ているだけでも楽しくなります。
端整で凛とした器
スタイリッシュなフォルムの造形、控えめな艶の黒色で、シャープで繊細なエッジ(口縁)が特徴的です。15〜16年前に最初に購入した丸い平皿の表面は、少し土感のある凹凸とピンホールがありますが、最近購入した作品は表面が平滑になっていて、さらに洗練されているようにも感じます。手に取ると繊細さを良い意味で裏切るほどよい重量感、存在感があります。シャープで繊細なエッジですが、意外に硬くて丈夫で、エッジが欠けたり、黒の色が退色したり、変色したりといったことはありません。なので普段使いにとても重宝します。芯が強く、美しい。端整で凛とした器とでも表現できるでしょうか。吉田直嗣さんの作品には鉄釉の黒陶、なめらかな質感の白磁に加え、マットな墨黒釉もあります。我が家のラインナップは鉄釉陶器です。鉄釉陶器は、釉(うわぐすり)に含まれている鉄分によって黒色、茶色、黒褐色、柿色などに呈色する陶器の制作技法で、鉄分が多いほど黒色になるそうです。我が家では吉田直嗣さんの器を和食、洋食を問わず使用しています。少し気取ったお刺身、煮魚などの和食はもちろんカジュアルなハンバーグ、カレーライスにいたるまで、あらゆる料理を引き立てます。普段使いの器として、我が家の食卓で実に登場回数の多い器となっていますが、洗練されたシンプルなデザインゆえに不思議と飽きがきません。盛りつけられる料理によそ行きの特別感を演出し、一段と美味しく、品よく、贅沢な気分にさせてくれる器です。吉田直嗣さんの白磁の作品はまだ我が家のラインナップには入っていませんが、黒のラインナップと合わせて使いたいので、ぜひ手に入れたいと思っています。何品かの料理が並ぶ食卓の中でバラエティに富んだ、色彩あふれる器でコーディネイトするのも楽しいですが、吉田直嗣さんの黒い器、白い器で統一された食卓もスタイリッシュな世界観のある食卓になりそうです。
吉田直嗣 Naotsugu Yoshida1976年 静岡生まれ。
東京造形大学卒業後、陶芸家 黒田泰蔵氏に師事。
2003年 富士山のふもとに築窯。