古民家の宿 森の古民家かろり

古民家同窓会

楽しい二人暮らしといえども、たまにはお互いの友人との自由な時間も必要です。お互いの行きたい所や、イベントなど、家庭での気遣いなしに過ごせる時間を尊重することも大切だと思います。僕の高校時代からの友人たち4人で、久しぶりの再会を、何か思考を凝らした形で行おうと計画しました。そして思いついたのが、リノベーションされた古民家に集まり、1泊。各々が持ち寄った食材で料理を作り、それを囲んで、昔話に花を咲かせようというものでした。現地までの5人の移動距離や集合時間、ロケーケーションを鑑みて、鳥取県 八頭郡智頭町福原の「森の古民家 かろり」で開催することなりました。鳥取県の東部、岡山県北部に隣接し智頭町は町の93%が森に囲まれた杉の町です。因幡街道と備前街道が交差する要衝で、参勤交代の宿場町として、明治以降は林業の町として栄えたそうです。各々が自家用車での現地集合。僕は岡山駅か山陰伯備線の特急やくも号で米子駅まで行き、米子在住の友人にピックアップしてもらい、現地に行くこととなりました。米子市からは、1時間半ほどで智頭町へ到着します。国道180号線を岡山へ逆戻りするようなドライブとなります。のどかな地域なので、道路が混雑することもなく目的地を目指します。車窓からは山や川の風景が望めます。目的地のナビが到着の合図を示しますが、一見、宿への案内看板らしきものは見えません。そのまま車を走らせてしばらく、うっかりと通り越してしまったようです。車をUターンさせて再度、注意深く道沿いに目を配ると、小さな立て看板がありました。広いアプローチのある宿泊施設への先入観を持って向かうと、見逃してしますので注意が必要です。案内看板に従い道沿から集落へと進入すると、駐車場があります。こちらの駐車場もゆったりと何台も収容できる整備などは特になされていません。実家のおばあさんお家に泊まりに行くイメージです。駐車場に車を止め、荷物を持って古民家に歩いて移動します。小道を少し歩くと「森の古民家かろり」があります。小道から見える古民家の姿が、周りの自然と調和して、とても趣きのある外観です。

 

 

「森の古民家かろり」

玄関の前に立つと、お出迎えの杉玉が軒先に飾ってあります。歓迎を表すために掲げられている杉玉は、元々新酒の仕込み頃に酒蔵の軒先にかけられるものだそうですが、杉の町、智頭町らしい図らいです。森の古民家かろりは築120年の古民家を改装した一棟貸しの宿です。宿に入ると、土間を挟むように左右に部屋があります。片方は年季の入ったいた板敷の小上がりから障子戸で仕切られた畳の和室で、もう片方はテーブルが置かれたカフェのような作りのスペースになっており、どちらの部屋にもここから入ることができます。土間の突き当たりの板敷からも部屋へ上がることができ、そこは、カウンターキッチンとなっています。キッチンは広く、料理に必要な一通りの調理器具、食器が準備されています。先に到着していた友人が、このキッチンから出迎えてくれる形で、森の「古民家かろり」に到着しました。

 

 

 

薪ストーブの魅力あふれる非日常な空間。

薪ストーブの魅力。「薪のある暮らし」をコンセプトにされた宿らしく、入ってすぐのキッチンスペースに薪ストーブが設置されています。早速友人の一人が薪ストーブの着火作業へと取り掛かります。薪は民家の裏口の一角に、一冬は越せそうなぐらい積み上げられていますので、必要な分だけ使用する事ができます。キッチンスペースの隣の部屋が、メインのリビングルームとです。こちらのテーブルには囲炉裏がついていて、囲炉裏を囲むように5~6人で食事ができるようになっています。この部屋にも薪ストーブが設置されており、とても趣のある部屋となっています。

 

手分けして、キッチンスペースとリビングルーム、二つの薪ストーブに火をつける作業、一方で食事の料理をする作業、久しぶりに再開した友人達がそれぞれに、食卓の準備をします。全てが準備されている宿とは違い、皆で協力して行う準備も古民家宿泊の醍醐味だと思いました。不器用な男5人が、料理や配膳の準備をする。普段の奥さんのありがたさを、それぞれが感じる事ができます。この日のメニューは、タッカンマリという鳥の水炊きのような韓国料理とローストビーフ、来る途中に購入した鳥取県 賀露港で水揚げされた魚の刺身。買い込んだお酒で食卓が始まります。

 

 

それぞれが日常の仕事のストレスや、しがらみをひととき忘れて、昔話や冗談話に花を咲かせます。テレビもなく、宿のまわりも静かで、薪ストーブの火を見ながら、楽しい会話だけの時間。非日常な空間が流れます。楽しい時間はあっという間に過ぎます。食卓の後片付けもままならず、就寝したのは夜中だったように思います。宿には備え付けのベッドが二人分と、押し入れに布団が準備されており、ベッドに寝る、畳の部屋に布団を敷いて寝る、さながら修学旅行のように寝床を決め、ぐっすりと就寝。朝を迎えました。澄んだ朝の日差しで目が覚めます。まだ、寝ている友人もいれば、前日、真っ先に宿に到着した友人は、やはり朝食の準備を済ませてくれています。

 

 

五右衛門風呂の温かみ。

この宿のもう一つの魅力は、五右衛門風呂です。朝起きた順番で部屋にある五右衛門風呂に入ります。五右衛門風呂といっても、綺麗にリノベーションされた浴室で、見た目は現代的なお風呂ですが、このお風呂が格別です。下手な温泉に入るよりも、体の芯から温まる。このお風呂は格別でした。順番に朝の入浴を済ませ、お世話になった部屋の後片付けです。思えば、前日のチエックインからチェックアウトまで、管理人さんとは顔を合わせることはありませんでした。なので、自分たちの貸切感があり存分に宿を満喫できました。チエックインの際に部屋に置いてあった注意事項に沿って後片付け。楽しみ方への自由度を提供してくださったオーナーの方のご意向への感謝の気持ちで、宿を後にする際には男4人で丁寧にチェックし、宿を後にしました。1泊2日の古民家宿泊を終え、友人それぞれが日常への帰路につきます。鳥取県智頭町には、魅力的な観光スポットもあります。観光を兼ねての宿泊もおすすめです。が、この古民家宿泊だけを目的とされても大満足の時間が過ごせること間違いなしです。友人に津山駅まで車で送ってもらい、岡山行きの電車を待ちました。少々の待ち時間がありましたが、今朝入った五右衛門風呂の暖かさが、まだ体に残る。おすすめの古民家宿泊レポートです。