器収集のきっかけ
奥さんの趣味は器収集です。結婚して18年になりますが、毎年少しづつ、気になった作家さんの器を購入しています。結婚当初より、お互いに食卓の器には興味があり、気に入った器で料理を楽しみたいという価値観は一致していました。普段の食卓の器に少しこだわりを持つだけで、料理が一段と美味しく感じたり、贅沢な気分にさせてくれます。器に興味があるといっても、各地の伝統的な「〇〇焼き」「〇〇釜」といったような切り口や、芸術作品的価値ではなく、普段使いの器としてのこだわりが二人共通の価値観です。結婚当初は、近くの器専門店や百貨店を見て周り、二人が気に入った器を購入していましたが、次第に量産タイプの器に味気なさを感じるようになました。
うつわ日和。
そんな時、奥さんが一冊の本と出会いました。うつわ祥見、祥見知生著の「うつわ日和。」という本です。(2005年3月発売)本の内容は三部構成で、第一章には、メシ碗、鉢、皿、どんぶり、小皿など、日々の器のそれぞれに対しての著者の思いが綴られています。第二章は、11人の人気作家さんへの取材記事となっています。それぞれの作家さんの器への思いや、器と暮らす日々が、素敵な写真とともに紹介されています。
紹介されている作家さんは
小野哲平さん
長谷川奈津さん
井山三希子さん
村木雄児さん
青木亮さん
村上躍さん
石田誠さん
矢尾板克則さん
田宮亜紀さん
鶴見宗次さん
谷口晃啓さん
素敵な作家さんがズラリとラインナップ。
第3章には器を趣味とする方へ向けた、器のいろは、手入れの仕方などが丁寧に記されています。文章も然ることながら、グラフィックデザインを生業とする僕にとっても本文中の写真、本のデザイン、装丁、紙の質感までもがスキがなく素敵で、ページを捲るたびに、器の魅力と世界観に引き込まれていきます。
器と暮らす楽しみ。
この本と奥さんの出会いをきっかけに、我が家の器収集が始まることとなりました。この本に紹介されている作家さんの一人、井山三希子さんの器を購入したのが最初だったと記憶しています。それからというもの、奥さんはこの本で紹介されている作家さんを中心に、器の形状、大きさ、釉薬のことや作り方を勉強していきました。岡山に住んでからは、二人で器作家さんの展示イベントなどにも足を運び、地元作家さんの器などについても知見を得たりもしました。奥さんは、空いた時間などにネットやインスタで器を検索し、気になる器、欲しい器を随時インプットしていきます。頻繁に買うほど裕福ではないので、年に数回、奥さんがセレクトした器を購入します。好みの傾向が夫婦二人でだいたいの一致しているので、届いた器どれもが二人のお気に入りとなっていきます。18年、少しづつでも収集すれば、さすがに器も増えていきます。部屋の器収納棚に並んだ器たちをたまにはリビングのテーブルにズラリと並べて写真をとったり、しばらく使ってなかった器を今晩の夕食用にピックアップしたりと、、夫婦二人で器と暮らすことを楽しんでいます。